日本大学理工学部応用情報工学科 松野研究室

IPA

D-Caseに基づく議論構造可視化支援ツールのプロトタイプ開発

背景

  • システムの複雑化・ネットワーク化
  • 環境のボーダーレス化
  • 一般市民が参加する環境全体の安心・安全
  • 安心・安全に関する一般市民、専門家、行政間の合意形成

研究目的

  • 課題: 原発事故におけるSNSの活用: 科学的に誤った知識の流布、扇動
  • SNSにおける、一般市民への適切な安心・安全情報の提供による、合意形成の促進
    安心・安全情報の提供方法として、D-Case(アシュアランスケース、assurance cases)を利用

アシュアランスケース(assurance cases)

  • システムが与えられた適用先と環境で、十分に安全であることを提供する構造化された証拠ドキュメント


アシュアランスケースが必要とされた背景

  • 1988年の北海油田事故(167名死亡)などを契機に、欧米で規格認証の際に提出が義務付けられるまでに普及。なぜ安全性が保たれるのか、明示された議論でエビデンスをもとに保証する
    従来: 与えられたチェックリストをチェック

研究分野としての背景

Toulminの議論構造(Toulmin, 1958)

  • Claim(主張)
  • Rebuttal(反論)
  • Fact(事実)
  • Warrant (保証)
  • Backing (支持)


GSN (Goal Structuring Notation)

アシュアランス表記法の一つ

D-Caseツールチェーン

SmartStructure

D-Caseを新聞記事などから半自動生成、表示

CrowdTalks

SNS議論を解析し、適切なD-Caseを提示

D-Case DB

D-Case作成のためのソース
https://secure1337.sakura.ne.jp/radiation-watch.sakuraweb.com/raddb/list.php
新聞記事データベース(公開中)を元に構築中

合意形成のモデル化

  • 従来の定義例: 合意形成は全員一致(unanimous)の同意を追求する過程である。これにはすべての利害関係者の関心・懸念を満たすための誠実な努力が必要である。合意は、各人が、すべての利害関係者の関心・懸念を満たすためのあらゆる努力の後になされた提案を受け入れることに同意するとき、達成される(Susskind, 1999, 猪原訳)
  • 今回の試案例: 合意形成とは科学的に正しい・正しくない・現時点では分からない主張に対し、正しい・正しくない・判断する/保留するという、合意を、参加者が受け入れ可能な形で形成すること

合意形成モデル化試案

グレイゾーン(仮説)

まとめと課題

まとめ

  • D-CaseによるSNS上の放射線議論の合意形成の促進
  • 新聞情報、ウエブ検索、D-Caseによる情報提供の比較の結果、D-Caseは満足度はウエブ検索と同等、正しさでは、ウエブ検索、新聞よりも有意に高かった

課題

  • ツールの改善
  • グレイゾーンを含めた合意形成のモデル化、多様な利害関係者を対象にした実証実験: 自動運転車、ドローンなど
  • 社会実装